平成18年12月24日
王勢籠神社
県外の調査が先行していましたが、今回は県内では数少ないお犬様の神社である上野原市王勢籠(おうせろう)神社を訪ねました。
神社は和見集落の人々により管理されています。案内をしてくださったのはかつて神主を務めていた家系の方で、屋敷があった場所の一角に写真の里宮があります(奥宮は権現山の山頂付近)。
毎年5月にお祭りがあり、その際にお犬様のお札が配られます。お札は火災、盗難を除け、田畑を害獣から守るとされています。案内の方のご記憶では戦後間もない頃までは近隣の村から多くの人がお札を借りにきたそうです。山村のため害獣除けが主だと思ったのですが、桑の葉泥棒を防ぐため、桑畑にお札を立てる場合が多かったそうです。出征の際にお守りとして持って行く人もいました。
特徴的なのは御眷属であるお犬様の数が75頭にものぼることです。そのため、かつてはお祭りの際に75個のお供え物を用意したそうです。
日本武尊を祀っている点は秩父・三峰神社や奥多摩・御岳神社と共通しており、日本武尊の道案内をしたオオカミの伝説が御眷属信仰の元になっています。
お宅で拝見した江戸時代(天保年間)と明治時代の寄附台帳には郡内地域の各地のほか、神奈川県の津久井郡の村名が見られ、広い範囲から信仰を集めていたことがわかりました。今後さらに詳しく調査していく予定です。 |