博物館資料のなかの『富士山』
葛飾北斎 冨嶽三十六景
16:相州梅澤左(そうしゅううめざわのひだり)
富士の長い裾野、立ちこめる霞。天空を舞う二羽の鶴と水辺でついばむ五羽の鶴のみが点景として描かれている。梅澤左は梅澤庄か梅澤在の誤りと言われるが、どこか特定の場所というよりは、理想郷の蓬莱山のような吉祥画として製作されたと想像される。 ※梅澤(神奈川県二宮町) …梅澤は東海道大磯宿(神奈川県大磯町)と小田原宿(同小田原市)との間にある宿で、茶屋が並び休息所として繁盛した。