博物館資料のなかの『富士山』
葛飾北斎 冨嶽三十六景
43:駿州大野新田(すんしゅうおおのしんでん)
芦を山のように載せた牛を引く農夫、背負子一杯に青物を積んだ農婦、そして白鷺たちも、みな夕陽を背にして家路につく。沼地の静けさと仕事帰りの安堵感が漂う。 ※大野新田(静岡県富士市) …大野新田は東海道の原宿(静岡県沼津市)と吉原宿(富士市)との間につくられた新田集落。本図は、富士沼(浮島沼)と沼川の南岸を通る大野新田周辺の東海道から富士を望む。富士沼は愛鷹(あしたか)山の南麓に広がる低湿地帯であり、古代・中世以来東海道からの眺望により、景勝地となっていた。