博物館資料のなかの『富士山』
歌川広重 不二三十六景
2:東都目黒千代が崎(とうとめぐろちよがさき)
千代ヶ崎の台地から遥か彼方まで遠望する。紅葉と白く輝く冨士の姿を思い思いに楽しむ人々。遠景を俯瞰で描いて広大さを表す景観は、広重の得意とする構図であるが、本図は中でも広々として爽快である。単調になりがちな風景に、画面左を貫く樹幹がアクセントとなっている。 ※目黒(東京都目黒区) …目黒川左岸の千代ヶ崎は、眺望の優れた芝生の岡として有名であった。本図は、目黒川を挟んで対岸の目黒不動(滝泉寺)、金比羅権現の境内を手前に富士を望む。